一般社団法人 放送人の会

アーカイブ:大山勝美賞


当会設立時のメンバーで、2代目会長を務められ、放送のために尽くされた、大山勝美さんの名を残し、その意思を継ぐために、ドラマの若いクリエーターを個人で表彰。

  
第9回大山勝美賞(2023)
小田 玲奈
(プロデューサー・日本テレビ放送網(株)コンテンツ制作局ドラマ)
 情報番組やバラエティー番組を10年以上担当した後、不動産売買をとおして現代の家族の問題を浮き彫りにする異色のコメディー「家売るオンナ」を初プロデュースし、続編も作った。同じく働く女性を主人公にした「地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子」などでも徹底的な取材を欠かさない。情報番組での帯ドラマ「生田家の朝」などで組んだバカリズムの脚本による「ブラッシュアップライフ」は、どこにでもいそうなヒロインが何度も人生をやり直すという奇抜な設定とリアルな会話で女性層の共感を呼び、新たな境地を開いた。
<主な経歴・作品歴>
1980年東京生まれ。2003年、日本大学芸術学部演劇科コース卒業、日本テレビ入社。2015年ドラマ部へ移動、以来プロデューサーとして多数の作品を担当、現在に至る。
2017年「地味にすごい!校閲ガール・河野悦子」でエランドール・プロデューサー奨励賞を受賞。
風間 太樹(かざま ひろき)
(ディレクター・AOI Pro.エンタテインメントコンテンツプロデュース部 監督)
 2020年、「チェリまほ」という略称で親しまれた「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」をヒットさせ、映画版でも監督を務めた。同じくテレビ東京の深夜ドラマ枠では翌年、「うきわ―友達以上、不倫未満―」を演出した。2022年には、31歳の若さでフジテレビの「silent」のチーフ演出を担った。ロケを主体にして、自然音や無音などにも気を配る繊細な演出手法は、「倍速視聴」に走りがちな若い世代の心をとらえ、社会現象を巻き起こした。映画作りにも意欲を示し、今後の活躍が期待される新進気鋭にこの賞を贈りたい。
<主な経歴・作品歴>
1991年山形県南陽市生まれ。東北芸術工科大学中に根岸吉太郎らに学び、初監督映画「Halcyon days」が山形国際ムービーフェステバル2013で観客賞を受賞する。卒業後、株式会社AOI Pro.入社。2017年、「帝一の國~学生街の喫茶店~」(フジテレビ)でドラマ演出デビューを果たした。以降の作品はいずれも注目され、受賞も多い。
第8回大山勝美賞(2022)
柳川 強
(ディレクター・NHKメディア総局 第3制作センター エグゼクティブディレクター)
 NHKでドラマ畑一筋に歩む柳川強氏は、2014年の連続テレビ小説「花子とアン」をはじめとする連続ドラマを演出する一方、「鬼太郎が見た玉砕~水木しげるの戦争~」や「最後の戦犯」など単発ドラマの秀作を手がけてきた。
 21年放送の「流行感冒」は自ら企画し、志賀直哉の原作を映像化した。単発作品は演出家が創造精神や作家性を発揮し、テレビドラマの可能性を追求する場でもある。その活性化のためにも、ベテランとしての力量と手腕を評価したい。
 <主な経歴・作品歴>
 2008年放送文化基金賞個別分野・演出賞、2009年芸術選奨新人賞。
 作品:2017年「返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す」(映画版もあり)、2021年「流行感冒」、2022年「風よ あらしよ」(BS4KとBSPで、22年秋・放送予定)。
佐野 亜裕美
(プロデューサー・関西テレビ制作局東京制作部 ドラマプロデューサー)
 脚本家・坂元裕二氏と組むプロデューサーは覚悟が必要だ。会話劇の名手として、氏の評価は確立しており、作品の出来いかんでプロデューサーの仕事ぶりが厳しく問われるからだ。
 「大豆田とわ子と三人の元夫」は坂元氏の脚本は言うまでもなく、キャスティング、音楽、美術、映像技術、そしてそれらによって醸し出されるドラマ全体の空気感ーそのいずれもが素晴らしい。プロデューサー・佐野亜裕美のセンスの成せる技だ。
 将来の活躍が大いに期待される。
 <主な経歴・作品歴>
 2018年「カルテット」でエランドール・プロデューサー賞。
 作品;2012年「20年後の君へ」、2015年「ウロボロス」、2018年「この世界の片隅で」、2022年5月7日から「17歳の帝国」(NHK放送予定)
第7回 大山勝美賞(2021)
新井 順子(あらい じゅんこ)
(プロデューサー・TBS SPARKL)
 新井順子さんは2013年「夜行観覧車」以来、「Nのために」「アンナチュラル」「わたし定時で帰ります。」など話題作を次々と制作、2018年に制作した「Aではない君と」では東京ドラマアウォード・グランプリを受賞している。
 とりわけ昨年制作された「MIU404」は評価が高い。エンターテイメント性は言うまでもなく、ブラック企業、外国人技能実習生、社会から疏外された若者など、様々な社会問題をストーリーに巧みに取り入れ、観るものに問題提起している。
彼女の真摯な仕事ぶりから、原作者、脚本家からの信頼も厚く、これからも大いに活躍が期待される。
大根 仁(おおね ひとし)
(演出家・オフィスクレッシェンド)
 大根仁氏はテレビ東京を中心にして、「まほろ駅前番外地」などの深夜ドラマを手がけてきた。脚本・演出を兼ねることが多い。2010年には「モテキ」をヒットさせ、この映画化で監督デビューを果たした。都会的な映像感覚とともにギャグのセンスも併せ持ち、若い世代に強く支持されてきた。2019年のNHK大河ドラマ「いだてん」では外部から初めて演出陣に招かれ、2020年には異色のラブコメディー「共演NG」(テレビ東京)が話題を集めた。視聴者層を広げたこうした活躍ぶりを評価したい。
第6回 大山勝美賞(2020)
中込 卓也(なかごめ たくや)
(テレビ朝日 ドラマ制作部 プロデューサー)
「やすらぎへの郷」(2017)から「やすらぎの刻」(2019~2020)へと、準備期間を含めれば4年以上、 長きに亘る帯ドラマを見事に運営された氏の努力と才能を高く評価したい。脚本家・倉本聰氏とベテランのスター俳優たちの絶大な信頼を勝ちえた証である。 氏の労を多としたい。
藤村 忠寿(ふじむら ただひさ)
(北海道テレビ放送 コンテンツ事業局クリエイティブフェロー)
氏は既に、民放ローカル局のバラエティ番組として異例のヒットをした「水曜どうでしょう?」のディレクターとして名高いが、近年はドラマの演出も手がけ、「ミエルヒ」(2009)ではギャラクシー賞優秀賞、放送文化基金賞を受賞している。昨年、氏が演出した北海道テレビ開局50周年企画番組「チャンネルはそのまま!」はそのテーマ、手法、エンターティメント性が評価され、民放連賞テレビ部門グランプリ、テレビドラマ部門最優秀を受賞した。氏の功績を高く評価したい。

第6回 大山勝美賞(2020)はコロナ過により贈賞式と懇親会を中止。

第5回 大山勝美賞(2019)
次屋 尚(つぎや ひさし)
(日本テレビ 制作・情報局 統括プロデューサー)
次屋尚氏は、民放ではなかなか企画が通りにくいシリアスなヒューマンドラマの秀作を次々に手がけてきた。
殺人事件の被害者と加害者になった少年を持つ、二人の母親の苦しみを真正面から描いた「アイシテル~海容~」、脚本・坂元裕二、演出・水田伸生とのトリオによる「Mother」「Woman」「anone」の3部作などである。トルコでのリメーク化を推進し、大ヒットを飛ばした「Mother」などの成功例も特筆される。
黒崎 博(くろさき ひろし)
(NHK チーフ・プロデューサー)
黒崎博氏は、NHK広島放送局在籍中に「帽子」「火の魚」という秀作を演出した。俳優の演技をベストの状態で抽だし、衒いのない的確な映像で表現した演出姿勢は大いに注目され、高い評価を得た。
東京に戻ってからも「メイド・イン・ジャパン」「セカンド・バージン」などの話題作を世に出した。さらに「セカンド・バージン」は映画化もされ、その監督も担当した。一昨年、朝ドラ「ひよっこ」を手掛けたが、常にその演出姿勢を貫き、すべての作品に奥深い文学的香気を添えてきた。
そして昨年は「警察庁長官狙撃事件」のドラマ化に挑み、自ら脚本も手掛け、謎のスナイパーと捜査官の攻防を、息をのむ緊迫感で描き、ドキュメンタリーとドラマの見事な融合を成し遂げた。未解決事件でありながら、奥深い人間の業に迫り感動的な作品であった。その演出力を讃えたい。
第4回 大山勝美賞(2018)
内山 聖子(うちやま さとこ)
(テレビ朝日ドラマ制作部 ゼネラルプロデューサー)
「黒革の手帖」以来、主演の米倉涼子とタッグを組み、異色のヒロインが男社会の中でも颯爽と活躍する姿を描いてきました。特に「ドクターX~外科医・大門未知子」は人気シリーズに育て上げました。その手腕を高く評価すると共に、今後のさらなる活躍に期待を込めて、この賞を贈ります。
加藤  拓(かとう たく)
(NHKエンタープライズ エグゼクティブプロデューサー)
「眩(くらら)~北斎の娘~」において、極めて優れた演出力を示しました。 北斎の娘・お栄を演じた主演の宮崎あおいを始めとして、多彩な俳優陣の演技の引き出し方は見事でした。また、このドラマの根幹ともいえる「光と影」を表現した美術・技術を結集した統率力も見逃すことは出来ません。最近ではあまり制作されなくなった単発ドラマで、この成果を出したことを高く評価すると共に、今後のさらなる活躍に期待を込めて、この賞を贈ります。
第3回 大山勝美賞(2017)
吉田照幸(NHKエンタープライズ エグゼクティブ プロデューサー)
音楽・バラエティー畑で育って、新感覚のコント番組「サラリーマンNEO」でヒットを飛ばし、映画版の監督も務めた。 連続テレビ小説にバラエティー的な手法を盛り込んだヒット作の「あまちゃん」以来、ドラマの企画・演出にも取り組みつつ、新たなコント番組「となりのシムラ」シリーズを作りながら、「洞窟おじさん」「富士ファミリー」「獄門島」などの異色作を手がける。その目を見張る縦横無尽の活躍に対して、この賞を贈ります。
土井裕泰(TBSテレビ ディレクター)
ここ数年来、「コウノドリ」「重版出来!」「逃げるは恥だが役に立つ」「カルテット」などの話題作を連ねる目覚ましい活躍で、才能をいかんなく発揮してきた。 その演出は、柔軟で自在、ときに軽快、ときに重厚で、更に、俳優の適切な演技を引き出す術は見事である。 この卓越した実力に対して、この賞を贈ります。
第2回 大山勝美賞(2016)
中島由貴(NHKエンタープライズ)
様々なドラマ枠で経験を積み、女性演出家のトップランナーとして活躍。自ら企画し、執念で実現にこぎ着けた前田司郎脚本の「お買い物」「迷子」「徒歩7分」は高く評価され、「55歳からのハローライフ」などの土曜ドラマも手がけました。女性という属性を超え、ドラマの今後を担う演出家としてのさらなる活躍を期待して。
岡野真紀子(WOWOW)
笑顔の奥に強靭な勇気を秘めたプロデューサーです。「なぜ君は絶望と闘えたのか」続いて「尾根のかなたに」と困難な企画に挑み、見事な作品に仕上げ、さらに、「チキンレース」「私という運命について」など、人生の機微を深く表現した秀作を作り上げました。その精力的な活躍を讃えて。
第1回 大山勝美賞(2015)
訓覇圭(NHK:チーフプロデューサー)
ソフトで暖かい人当たりの良さと、鉄のような強い意志をもつプロデューサーです。骨太な社会派の土曜ドラマ「ハゲタカ」「外事警察」から、まったく新しい"朝ドラ"「あまちゃん」などを作り上げるという実力を見せました。その颯爽としたプロデューサーセンスに対して。
塚原あゆ子(㈱ドリマックス・テレビジョン、企画・演出、プロデューサー)
人間の多面性をていねいに切り取り、ドラマに奥行きを与えるディレクターです。「リミット」「今夜も心だけ抱いて」「Nのために」「セカンド・ラブ」など、それぞれ重いテーマながら、上質なエンタテインメントに昇華させています。女性ならではの感性による繊細な演出に対して。

※「大山勝美賞」とは……
2014年秋、生前の大山勝美さんから「放送人の会」は多額の寄付金を頂きました。
ドラマの巨匠・大山さんは本会設立時のメンバーで、2代目会長を務められ、後進の指導など放送のために尽くされました。
大山さんの名を残し、その意思を継いでゆきたいと「大山勝美賞」を設立し、ドラマの若いクリエーターを個人で表彰します。
年齢は60歳以下です。個々の作品では無く、長い期間の仕事の仕方を総合的に判断して選びます。

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