一般社団法人 放送人の会

放送人グランプリ2020(第19回)
―贈賞式 開催日時・未定―


毎年度の放送番組の中から、「放送人の会」会員が推薦した番組を審査し、顕彰する。"放送人の放送人による放送人のための賞"。 今回は、新型コロナ感染症の影響で、贈賞式(5月16日)が延期となりました。

【グランプリ】 「フジテレビヤングシナリオ大賞」
 1987年第1回受賞の坂元裕二さん以来、31回の本年まで絶えることなく、数多くの実力ある人気脚本家を輩出しました。とりわけ、昨年は第15回受賞の安達奈緒子さんが、「きのう何食べた」(テレビ東京)・「サギデカ」(NHK)・「G線上のあなたと私」(TBS)の色合いの異なる3作品で、絶妙なセリフとストーリー展開で個性を発揮しました。
 また、第22回受賞の野木亜紀子さんは昨年、第37回向田邦子賞を受賞し、第16回受賞の金子茂樹さんは、本年4月に第38回向田邦子賞を受賞しました。連続の向田賞でした。 毎年多くの有望な作家たちを生み出した、その見識と、その後の育成の功績を讃えて、グランプリに推奨します。
(講評担当:佐々木彰)
【準グランプリ】 ETV特集「武器ではなく 命の水を ~医師・中村哲とアフガニスタン~」を制作した日本電波ニュース社と、急遽、再放送したNHKETV特集班
 日本電波ニュース社は1998年、パキスタン・アフガン国境山岳地帯で巡回診療をする中村哲医師に密着取材したのを皮切りに、アフガンの中村医師の活動を継続取材してきました。その撮影時間は1000時間にも及び、それらは番組としてせき止められ、強い意志で現場で苦闘する・中村医師の存在を世に伝えてきました。
 中村医師は、ここ10年用水路建設に情熱を捧げてきましたが、取材班は本人に密着すると共に、用水路がどのように作られるかを、技術的側面から詳細に記録しました。昨年末、中村氏が急逝した後に、この記録はアフガンの人々の教科書として大きな意味を持つことになりました。
 日本が誇る偉人・中村医師の志を、後世にしっかりと残すことを成し遂げた日本電波ニュース社・谷津賢二カメラマンや制作スタッフの仕事を高く評価します。
 番組は12月4日中村医師が銃撃で亡くなった直後の7日に、2016年9月放送のETV特集を再放送したもので、年内に総合波含め2回再放送して、2月には2001年当時の映像を「こころの時代」で放送の他、ニュース枠等でも放送されました。
追悼と共に遺志を継ぐ活動も広がりを見せています。日本電波ニュース社のアフガン取材は今も続いています。
(講評担当:吉田賢策)
【優秀賞】 NHKスペシャル「全貌二・二六事件~最高機密文書で迫る~」
 近代日本最大の軍事クーデター「2.26事件」。その全貌が戦後74年を経て、この番組で明らかになった。事件が起こる前から、海軍はそれを察知していたという。もしその事実が、当時明らかになっていれば・・・。この事件を機に陸軍の力が拡大し、日本は無謀な太平洋戦争に突入していった。
 一つの「文書」で、国家存亡の危機に陥ることを描いた秀作ドキュメントだ。
 今の日本に通じるものを感じざるをえない。
(講評担当:八木康夫)
【優秀賞】 BS1スペシャル「女優たちの終わらない夏・終われない夏」
 第2次世界大戦で被災した子供たちの手記を、戦中・戦後初期生まれの女優たちが手弁当で、朗読する巡回公演が、2019年の夏、34年の歴史に幕を下ろした。
 戦後40年の1985年夏、文集「夏の雲は忘れない ヒロシマ・ナガサキ1945年」ほか、様々な文集や手記をもとに、朗読劇「この子たちの夏」が初めて上演され、以後、毎年開催して来たが、上演母体の解散に伴い、2008年に渡辺美佐子、高田敏江、大原ますみ、など有志が「夏の会」を結成し、新しい台本「夏の雲は忘れない」をつくり、毎年夏に全国で巡回公演を続けて来た。
 参加女優の高齢化もあって、公演は終止符を打った。
 番組では、平均年齢80歳以上の女優たちの、〝最後の夏〟の日々に寄り添う。
 各公演では、10人のメンバーから交代で6人が、地元の有志と一緒に出演する。リハーサルと公演を通して、舞台に立つ若い人や応援の地元の人々に、〝幼い友や家族を失う・戦争の惨禍〟を託して行く。
 最後の女優たちは、大橋芳枝、大原ますみ、長内美那子、川口敦子、高田敏江、寺田路恵、日色ともゑ、柳川慶子、山口果林、渡辺美佐子(50音順)。
〈戦争・国家・人生・役者〉など、深い思いを静かに伝える秀作を讃えたい。
(講評担当・菅野高至)
【優秀賞】 「文化放送報道スペシャル 戦争はあった」のパーソナリティー・アーサービナード氏と制作スタッフ
 アメリカ生まれの詩人・アーサービナードさんが、首都圏各地に隠れている<戦争の傷跡>を訪ね歩き、それぞれの謎を解き明かすようにレポートしてゆく。巣鴨プリズンや陸軍中野学校など、今はきれいな場所になっている。そこで起こった忌まわしい事実を、「光を当てて見えなくする」ように、権力者は都合の悪いことは隠そうとする。
 隠れたものを知ることこそ、「戦争を反省する」ことである。この特番には、被害者意識としての戦争ではなく、加害者側の視点で説き明かす意味あるドキュメンタリーである。
(講評担当:三原治)
【企画賞】 「プレバト!!」の制作放送MBS
 辛口査定で人気を集めている講師役、夏井いつき先生の憎めないキャラクターを充分に活かしながら、梅沢富美男を始めとする人気芸能人が詠む俳句を、互いに競わせながら、視聴者をなるほどと思わせるような、劇的に変わる添削など、視聴者の知的好奇心を満足させるバラエティー番組の一級品である。
 俳句をはじめ水彩画、生け花など、日本古来の文化を正面から取り組み、視聴者の支持を得た、その卓越した企画力、演出力は放送文化のさらなる多様性を開発したことを、高く評価したい。
(講評担当:新山賢治)
【特別賞】 杉田成道
 倉本聰と組んだ「北の国から」シリーズや、「君は海を見たか」、「ライスカレー」などを作ってきた杉田さんは、日本映画放送社長としてオリジナル時代劇の制作を推進し、8Kで撮影した・仲代達矢主演の「帰郷」で20作を数える。
 自ら監督を務めたのは「帰郷」で3作目に当たる。2018年には、ニッポン放送のラジオドラマ「ストリッパー物語」の演出に挑み、放送文化基金賞優秀賞に選ばれた。また、2003年から2015年までの長きにわたり、日本映画テレビプロデューサー協会会長を務めた。
 映画は「優駿 ORACION」、「最後の忠臣蔵」、「ジョバンニの島」(原作・脚本)などを手がけた。杉田の多彩な活動は、この特別賞に値する。1943年生まれ、76歳。
(講評担当:西村与志木)
【特別功労賞】 故 堀川とんこう
 堀川とんこうさんは「放送人の会」の副会長として、また当会の主催する「放送人グランプリ」の審査委員長として大きな功績を残されました。「放送作品としてどれだけの価値があるのか」という厳しくも優しい視線で評される姿は心に深く残っております。
 1961年にTBSに入社し山田太一さん脚本の「岸辺のアルバム」、市川森一さん脚本、竹下景子さん主演の「モモ子シリーズ」など、数多くのテレビドラマ手掛けました。 松本清張原作「父系の指」でギャラクシー賞大賞、退職後に演出した東日本大震災をテーマにした「時は立ちどまらない」で文化庁芸術祭大賞、放送人グランプリを受賞。その続編でもある山田太一スペシャルドラマ「五年目のひとり」で放送人グランプリ特別賞を受賞しています。
 素晴らしい作品群を残された堀川とんこうさんを称え、「放送人の会」に大きな貢献をされたことを謝し、ここに特別功労賞を送りたいと思います。
(講評担当:西村与志木)


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